瞑想を習う 第五歩

マントラ「オーム」

注:この話はオーム真理教などの組織とは全く関係なく、大昔からある智恵を取り扱っています。

シヴァ王

  「スープリーム」のマントラを使うのが気に入って、詠唱が楽しいと思えたら、「オーム」という新しいマントラを技術のレパートリーに加えると一層役立つでしょう。

  マントラの長さは、一つの音節、一つまたはいくつかの単語、一つまたはいくつかの文と、幅があります。マントラを繰り返すことをジャパと言います。

  マントラは精神的な性質か意味、または神の側面を表していて、決まった目的と利点を備えています。手当たり次第に選ばれたものではなく、本来精神的な意識に満ちた強力で特殊な言葉なのです。その多くはヨーガ行者、求道者や精神の師によって何千年も前から使われてきました。

  初心者にとってマントラは、マントラが表す性質または音にマインドを集中させる効果的な方法となります。マインドを清め、精神性の広大な世界への通路、神聖さの精髄を用意してくれます。マハートマ・ガンジーは亡くなるとき、神の名前の一つ、「ラム」というマントラを借りて、一生崇拝していた神に呼びかけ、この最後の詠唱の祈願を通して魂を明け渡しました。

  意外なことに、シュリ・チンモイは「オーム」のことを宇宙の根源的な音、神の雰囲気、全てのマントラの母というふうに描写しています。オームには無限の力があり、神の命であり、体でもあり、息吹でもあると話しています。「人間がオームを唱えるとき、至高の音の普遍的な性質に触れ、それを奮い起こしているのです」とシュリ・チンモイは記しています。

星空

  マントラと出会うのが初めてという方にとっては、このような記述が妙に感じられるかもしれませんが、私たちが発見することを待っている、信じられないほど広大な世界をちらりと覗き込めるようにしてくれるのですから、私たちを鼓舞する話でもあるでしょう。マントラはとても実践的です。例えば、町でにぎやかな通りを歩くとき瞑想はできませんが、心の中でマントラを唱えることはできます。そうすれば、内的生活への通路が直ちに開き、あなたの内なる力が大きくなります。日常生活の雑踏の中で、マントラは平和と落ち着きを前面に引き出してくれます。外は世の中の活発さ、内は超然とした平穏と魂の喜びの薫り。あなたのマントラは外と内、地上と天国、人間と神、物質と精神のつながりです。しかも、一語の音だけでとても簡単です。

いくつかのポイント:

  • 瞑想を始めるときマインドが思考でいっぱいになっているなら、「オーム」または「スープリーム」をとても速く唱えるといいでしょう。「走り出した電車を追いかける勢いで唱えてみて下さい」とシュリ・チンモイは適切に説明しています。
  • 可能であれば、「オーム」は声を出して唱えると効果が大きいです。マントラのは集中力を補い、マインドを浄化してくれます。ジャパ(マントラを繰り返して唱えること)は朝か昼間にした方がよいです。寝る前にすると、身体を活気づけ、眠りの妨げになってしまいます。「オーム」を唱えるとき、「m」の長さが「o」の長さの3倍となるようにします。
  • 私のワークショップではよく「オーム・オーシャン」というCDをかけます。大洋の波を背景にしたシュリ・チンモイの「オーム」の詠唱ととても穏やかなフルート音楽のCDです。強い魅力があり、部屋で皆の心が応じるような明白な瞑想的雰囲気を即座に漂わせてくれます。音楽とマントラを瞑想のときに利用すれば、このように熱心さが呼び起こされて、大いに私たちの体験を高めてくれるのです。

マントラの練習

Japa Beads

  ここでは自分の性格の浄化を大いに助けてくれる、2週間にわたる練習を紹介します。今まで触れたオームとスープリームの2つのマントラの内、好きな方を選んで、それを唱えるという練習です。最初の日は500回唱えて、次の日は600回、その次の日は700回というふうに毎日100回の繰り返しを上乗せして、一週間後に1200回に達します。それから、毎日100回減らしながら、再び500回まで戻ります。時間があまりない場合、またはゆっくり唱えた方がいいと思ったら、50回からスタートして、120回まで増やしていって下さい。それから、毎日10回ずつ減らして、50回に戻るという方法が便利でしょう。

  この500-1200、または50-120の練習をすることにしたら、朝100回、お昼100回という感じで一日分をいくつかの部分に分けて唱えてもかまいません。一日に水を10杯飲むことにしたとすると、一度に全部飲むのは無理ですから、一杯飲んで、2時間後にもう一杯飲むという方法がいいでしょう。それと同様に、その日にマントラを唱える回数の目標を少しずつ達成していきます。

  この練習全体を続けて二回行うこともできます。そのように一ヶ月の詠唱を終えると、つまらないことに動揺しない、積極的なエネルギーや喜びに満ちた清らかで冴えたマインドを得ることができます。

  この練習で、マントラを繰り返した回数をどのように数えていけばいいのでしょうか。数珠またはジャパ用ロザリオ(数珠玉が107個あるもの)を使う人もいます。その場合、ジャパ(マントラを繰り返すこと)は数珠を何周か回すことになります。Soul Bird 手のひらに乗る小さなカウンターもあります。それとも、頭の中で数えることも出来ましょうが、この方法を身につけるのには時間が要ります。あるいは、決まった時間を唱えるというのもいいでしょう。このやり方では、繰り返す回数ではなく、繰り返す時間を決めるのです。しかし、マントラの繰り返しを数えることで、自分の意識を他のものごとから離して、マインドの集中力を鍛えているのです。次第に、マントラは内面の自分のものになります。そうなると、他のことに注意を引かれても、静寂の心の中でマントラの詠唱がずっと続いていきます。あなたの内なる存在が、自然に瞑想をし、マントラがあなたの内的生活の中で鳴り響きながら、そのパワーが外面へも流れ、物質的生活にも影響を与えます。あなたは笑顔で、そして微笑む心で、この世界で行動できるようになるのです。