瞑想の秘密

概略

概略

  瞑想についてのあまりに多くの情報に、少し困惑しているのではと思います。この章では、基本的ないくつかの点に集中したいと思います。 「りんごの味を知りたいなら、それを議論するのではなく、食べてみること」という言い習わしがあります。このことは瞑想について知る必要のあることは全て既に自分の中にあって、練習することによって表に現れるということを示唆しています。シュリ・チンモイのすばらしい言い方を借りますと:「あなたの頭の中は質問の洪水。それに答えるのは誰ですか。それは、静寂を愛するあなたのハートなのです。」

夕焼け

いくつかの主な瞑想の秘密:

1.誠実さをもって始める – 達成できそうな目標を立て、個人で瞑想する場所、祭壇を設けて、毎日同じ時間に練習する決意をして下さい。誠実さとは練習中に瞑想を他の全てのことよりも優先するということです。他の仕事に追われたり、電話が鳴ったり、どんな邪魔物することがあってもそれに応じない、ということです。瞑想を絶好の機会、聖なる時間と考えください。もしあなたが、「今日は練習する時間がない」と言うのであれば、瞑想がどんなに積極的にあなたの外的生活をどれほど変革できるかを理解しそこなったことになります。全ては内面から始まるのです!そして、誠実さから内面の習慣が発達し、しばらくすると、瞑想は自然なことになり、瞑想をしたいという内的な衝動が消えることはなくなります。最初は、瞑想することが異常に思えるかもしれませんが、その内に瞑想しないことの方が異常に思えてくるでしょう。内なるパイロットがあなたに瞑想をさせるのです。魂がそれを必要としているのです。

2.たくさんの強力な精神的資質が潜んでいる精神的ハート(魂の座とも言うべき、人間の心臓の位置にある霊的な場所)の中で瞑想をし、落ち着かないマインド(頭脳で思考すること)を忘れて下さい。ハートは広大な空のような無限の意識の領域であり、平安、静寂、広大さ、拡大する愛、他人との一体感、至福などという資質が全てそこにあります。前に紹介したハートの練習をいくつか勉強し、この瞑想法になじんでみて下さい。練習を通してこれらの資質はとても力強くなっていきます。

「恩寵」というシュリ・チンモイの絵画

3.精神的ハートにもっと近寄ることができるようになるにつれて、渇仰心、すなわち人の魂が自由、叡智、喜び、充実感と満足感を求める気持ちを感じ始めます。この意識的な内的な叫びが絶えず心の中で成長し、あなたをゴールの方へ引っ張っていきます。渇仰心は真の達成感を求めるハートのますます強くなる叫びです。強烈さと熱心さをもたらし、常により高く、より深く、より遠くへたどり着こうとしてくれます。あなたが現在到達しているところより先に、はるかに先に行きたくなるのです。合掌し両手をハート(心臓の位置)に当てることが渇仰心を高め、瞑想が特別で神聖な活動だということを感じさせてくれます。

4.誠実さと渇仰心は精神的な磁石の働きを持ち、子供の泣き声が親の愛に満ちた関心を呼ぶのと同じように、高い世界の関心を引き寄せています。シュリ・チンモイはそのことを「恩寵」と呼んでいます。私たちの人生や瞑想に流れ込む神の慈悲のことです。もしあなたが自分なりの方法で神を信じるなら、または神々しく、慈悲深い霊と係わりを持っていると感じるなら、それは非常に強力な秘伝になります。あなたの瞑想は大して自分自身や自分の努力によるものではなく、むしろ神の恩寵によるものです。あなたは神の子供で、神に愛されているから、全てを神からいただけるに決まっています。瞑想するときは自分が子供だという気持ちで行い、愛情に満ちた親に呼びかけ、親が道案内をして必要な経験を与え、自己発見のために一番いい道をずっと進められるように頼んでみて下さい。神は最愛なる者なのです

シュリ・チンモイの重量挙げ

5.私たちの生活を形づける様々な習慣や癖は、私たちの進歩を助けるものか妨げるものかのどちらかです。それらの精神的生活への影響の善悪を見極めるべきは私たち自身なのです。「マインド、身体、心と魂がお互いに結び合っている」という全体論の原理を念頭に置き、生活の一部で何かをすると他の部分も影響を受けるという事実を忘れないで下さい。例えば、瞑想の質を高めるのに肉体の健康、元気と活気が欠かせません。なぜなら、気分がすぐれていなかったり、身体が落ち着かなかったりしては、たった10分でも静かに椅子に座って、瞑想するのが大変難しいからです。運動は身体が落ち着き、内なる平安を育もうとするのを助けます。また、多くの精神的な道は菜食主義に切り替えることを勧めています。食べ物も私たちの意識に影響を与え、身体・マインドや繊細な神経系のエネルギーを左右しているのです。タバコや酒も現代のライフスタイルでは普通のものですが、精神性の観点から見れば、身体とマインドの清らかさを傷つけ、私たちの進歩を遅らせているものです。

  身体を聖堂にすることもできれば、土牢にすることもできます。それはあなた次第です。しかし、活発で清らかで統制のとれた身体は、精神的生活を開花させる完璧な基礎になります。心身は両立するのです。新しいことを採り入れる十分な寛大さを育むために、古い癖に捕らわれてそれを変える自由と意志力を失わぬよう注意して下さい。この主題について、シュリ・チンモイの書物からの素晴らしい抜粋を「身体・心・精神」で読むことができます。

弁天様

  このようにライフスタイルが大変重要になります。深い瞑想の後、ホラー映画を見たり、一晩中テレビを見て夜を明かしたりしては、穴だらけのバケツに水を注ぐようなものです。内なる宝物は全てあなたの中から流れ出てしまうのです。シュリ・ラーマクリシュナという18世紀の偉大な精神の師は、このことを説明するのに3体の異なる人形への珍しい類似を使いました。この話では、人形は探求者、真実を求める者を象徴しています。一つの人形は塩で出来ていて、もう一つは布で、三つ目は石で出来ています。塩の人形を海(無知の海、娑婆という意)に浸すと、たちまち溶けてしまいます。布の人形を海に浸すと世俗的なことが染み込みますが、それでもある程度形も精神も保たれます。石の人形は海水がその周りを流れるだけで、影響を受けません。もしあなたが石の人形になり、自分の精神性を常に安全に保ったまま世の中で行動したいと思うなら、常に自分が何をしているかに注意して下さい。自分の性質のあらゆる細かい面をどのように完全にすればいいのか、外的な生活で何をし、何をすべきでないかを、あなたの瞑想、そしてそれを提供する内的指導に教えてもらって下さい。

階段

6.もう一つの瞑想の秘密は、あなたに合ったただ一つの精神的な道を歩むのが非常に有利だということです。そういう精神的な道は、山頂に登るために選んだ一本の道のようなものです。各々の精神的な道には、それぞれに特有なやり方や方針があり、そのような連続する段階や勧告は先への進み方を次第に定義・具体化しながら、あなたをだんだんゴールへと運んでくれます。あなたが最終的に傾倒することになる道は、規則正しい瞑想の練習と渇仰心を通してあなたの用意ができた時に見つかるでしょう。以前は幅広く色々な本を読んで、様々な瞑想のしかたを試みてバタバタしていたかもしれませんが、道が見つかれば、自分が前進できる最も良いその道に専念することができます。これはマインドによる決定や選択ではなく、本当のあなたが芽生えることによって出てくる内なる感覚です。道は既にあなたの中にあり、あなたの用意ができたときに初めて現れてくるのです。

7.自分の瞑想と精神生活があなたにとって大変意義深いものであるなら、本当の師を持つという最も重要な機会が訪れるかも知れません。精神の師とは、いろんな時にあなたを助けようとあなたの人生に登場するたくさんの人物の中の一人ではなく、至高の現実への精神的ガイド、つまりはグルなのです。シュリ・チンモイグルは「啓発をもたらす人」という意味のサンスクリット語です。真のグルは非常に熟達した精神の師であり、あなたの進み具合を、しょっちゅうつまずく不確かな歩行から、自己実現・啓発・神に向かう高速のスプリントに変革する能力があります。精神の師はあなたの旅の案内をすることを約束し、あなたの進歩を大いに促進できる能力を持つ家庭教師です。このような生きた師を持つことは大きな恩恵です。このような師は一目で、あなたについて全てを知ることができます。あなたの魂にとって一番適した瞑想法、あなたの修行を台無しにしている障害や妨げの取り除き方、速く前進するのに必要な段取り等々を一瞬で知ってしまうのです。

  精神の師は意識の最も遠い領域を旅し、道を熟知しています。あなたは師の中で自分の最高の可能性、自分の本当の天性の現れを見ることができます。その平安、落ち着き、智恵、慈悲、超然とした様や無限の静寂をあなたもいつかは自分が生まれながら持つ権利として感じるようになります。グルと弟子の仲は計り知れないほど大切ですが、この特権を得るには、開いた心、自分を変える覚悟や武士が持つような目標への献身という態度が欠かせません。